Liber specialis lectionis

西洋中世の歴史、宗教、文化を中心とした読書日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

【お知らせ】西洋中世学会ポスター発表をします

開催中の西洋中世学会第13回大会のポスターセッションで「メヒティルトからゲルトルートへーヘルフタ修道院におけるlitteraー」の報告をします。同じ修道院で2人の修道女が書いたテクストに出てくる同じ単語に注目し、13世紀の思想という文脈に女性の存在を…

ワクチン接種予約奮闘記

新型コロナウイルスのワクチン接種のため、予約受付が私の住む東京某区でも始まった。同居する後期高齢者の両親2人分のワクチン接種予約を取るまでの様子を記録しておく。 **************** 2021年4月23日:ワクチン接種のためのクーポン発…

【お知らせ】共訳書が出ます

翻訳に参加した本が今日刊行されます。 ウィンストン・ブラック(大貫俊夫監訳)『中世ヨーロッパ—ファクトとフィクション—』平凡社、2021年 中世ヨーロッパ: ファクトとフィクション 作者:ウィンストン・ブラック 発売日: 2021/04/23 メディア: 単行本 私は…

バーバラ・H・ローゼンワイン再考①

近年、歴史学では注目を集めた書籍の翻訳がまとまって刊行されたこともあり、「感情史」が新しい研究分野として大きな注目を集めています。この分野の先駆的な研究者の一人がバーバラ・H・ローゼンワインです。ローゼンワインは2000年代後半から感情史に取り…

【文献紹介】ロバート・バートレット『なぜ死者がこれほどの偉業をなせるのか?—殉教者から宗教改革までの聖人と崇拝者—』

Robert Bartlett, Why Can the Dead Do Such Great Thigns? Saints and Worshippers from the Martyrs to the Reformation, Princeton, Oxford, 2013. 今まで何冊か聖人伝、教皇列聖審問に関わる本について述べたが、そもそもの聖人崇敬をテーマとした本を紹…

研究入門:教皇列聖について知るには

西洋中世史を学ぶために宗教関係の知識は不可欠だが、多くの場合は聖人崇敬が関わってくる。中世は13世紀頃までは聖人認定のシステムが確立していなかったため、大きく分けると「教皇に聖人として公布された聖人」と「教皇から承認をえていないが聖人として…

【文献紹介】ヘートヴィヒ・リュッケライン『中世北ドイツの文書・教育・宗教』

Hedwig Röckelein, Schriftlandschaften, Bildungslandschaften und religiöse Landschaften des Mittelalters in Norddeutschland (Wolfenbüttler Hefte 33), Wiesbaden, 2015. 著者のRöckeleinはドイツ、ゲッティンゲン大学中世史の教授でGermania Sacraの…

映画:「ねじれた家」

映画「ねじれた家」がミステリーチャンネルで放送されていたため視聴。原作はアガサ・クリスティの同名作品、監督ジル・パケ=ブレネール、主演グレン・クローズ、製作は2017年。 アガサ・クリスティーの世界/映画『アガサ・クリスティー ねじれた家』特別…

【文献紹介】エラ・ジョンソン『これはわたしの体である:ヘルフタの大ゲルトルートの著作における聖体の神学と人類学』

Ella Johnson, This is My Body: Eucharistic Theology and Anthropology in the Writings of Gertrude the Great of Helfta, Collegeville, 2020. This Is My Body: Eucharistic Theology and Anthropology in the Writings of Gertrude the Great of Helft…