Liber specialis lectionis

西洋中世の歴史、宗教、文化を中心とした読書日記

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【文献紹介】『中世の列聖審問における奇蹟:構造・機能・方法論』

Sari Katajara-Peltomaa, Christian Krötzl, Approaching Twelfth- to Fifteenth-Century Miracles: Miracle Registers, Collections, and Canonization Processes as Source Material, in: Christian Krötzl, Sari Katajala-Peltomaa (eds.), Miracles in M…

ビンゲンのヒルデガルト研究(2)

前の投稿で指摘した通り、ヒルデガルト研究で日本と海外で進展度に大きな差がある。ここでは、ヒルデガルトについて知りたい人がまず読むべき本として、ブリル社の『ビンゲンのヒルデガルト必携』を挙げる。 Beverly Mayne Kienzle, Debra L. Staudt and Ger…

ビンゲンのヒルデガルト研究 (1)

ビンゲンのヒルデガルト(1098~1179)は女子修道院長、神秘家、著作家。ライン地方の貴族家門に生まれ、幼少期にベネディクト会修道院ディジボーデンベルクに奉献された。シュポンハイムのユッタと敬虔な生活を送っていたが、他の女性たちが集まって共同体に…

史料紹介:ハッケボルンのメヒティルト『特別な恩寵の書』(Liber specialis gratiae)

ドイツ・ザクセン地方にあったシトー会女子修道院ヘルフタで書かれた神秘主義、幻視文学のテクスト。著者はハッケボルンのメヒティルト(1241~1298年)とされるが、これは彼女の幻視を記録しているためで、本人が書いたのは全7巻中第4巻の後半のみである。残…